黒部峡谷鉄道の終点、欅平駅から歩いて行く名剣温泉。
今回の黒部峡谷旅では、トロッコ列車で黒薙、鐘釣をめぐったあと、最後に名剣温泉に泊まりました。
山の中にある秘湯ならではの雰囲気、土地の食材を使った創作料理、翌朝の祖母谷峡への散策。
そして、ちょっと予想外だった朝風呂の出来事と、帰りのトロッコ。
今回は、そんな名剣温泉での一泊を、60代夫婦の実体験として正直に紹介します。
名剣温泉のアクセス・基本情報
所在地
富山県黒部市宇奈月町欅平
名剣温泉は、黒部峡谷鉄道の終点、欅平駅から徒歩で向かいます。
欅平駅から奥鐘橋を渡り、山道を歩いて宿へ向かいます。
予約・問い合わせ
名剣温泉事務所
富山県黒部市犬山198-1
TEL:0765-52-1355
FAX:0765-52-3334
宿泊料金
通常プラン
1泊2食付き 1名16,500円~
※サービス料込み・税込、入湯税別
※料金は宿泊時の情報です。最新の料金は予約時にご確認ください。
客室
和室6畳~14畳
トイレ付き、トイレなしの部屋があります。
営業期間
5月下旬~11月中旬
※季節営業のため、営業期間や営業状況は事前に確認することをおすすめします。
※現在、営業再開には至っていないようです。
日本秘湯を守る会
名剣温泉は「日本秘湯を守る会」の会員宿です。
欅平駅から名剣温泉へ
左 名剣橋 中 奥鐘橋 右 ヘルメットの棚
欅平駅から宿までは、歩いて向かいます。
奥鐘橋を渡り、黒部峡谷の景色を眺めながら進んでいきます。
人喰岩の手前に、落石や頭部保護のための貸出用ヘルメットの棚(置き場)が設置されています。
危機管理の考え方は全く違うリタイヤ~ずです。
トロッコ列車の終点まで来たというだけでも、かなり秘境感がありますが、そこからさらに歩いて宿へ向かうので、だんだん「本当にこんなところに宿があるの?」という気分になってきます。
名剣温泉は、まさに黒部峡谷の奥にある秘境宿。
こういう場所に泊まること自体が、今回の旅の楽しみのひとつでした。
到着後にすすめられたのは貸切風呂
落石に合うこともなく無事、名剣温泉に到着。
まずうれしかったのが、到着してすぐに出していただいたウエルカムスィーツでした。
暑い中、歩いてきた後だったので、これが本当においしかった。
こういうちょっとした心遣いに、ほっとしました。
欅平 名剣温泉の貸切風呂
そしてすすめられたのが貸切風呂。
せっかくなので、私たちも利用することにしました。
山の中の宿なので、都会の旅館のような設備を期待する場所ではありません。
それでも、こういう場所だからこその雰囲気があります。
静かな山の中で温泉に入る。
それだけで、普段の温泉旅とは少し違った時間を過ごせました。
夕食は土地の食材を使った創作料理
夕食は、土地の食材を使った創作料理。
これが、とても美味しかったです。
山の中にある宿なので、食材を運ぶのも簡単ではありません。
食材は毎日トロッコ列車で運んでいるそうです。
料理人である娘さんが手がける料理とのことで、山の宿ということを忘れるくらい、素敵な料理でした。
山の中の秘湯で、こんな料理をいただけるとは思っていなかったので、夕食は今回の宿泊で印象に残ったもののひとつです。
翌朝は早起きして祖母谷峡へ
翌朝は早起きして、祖母谷峡まで歩いてみることにしました。
朝5時。
まだ薄暗い中、宿を出発します。
途中には、少し長めのトンネルがあります。
中はかなり暗いところもあり、ちょっと怖かったです。
人に会うこともなく心細くなりそうな道でしたが、30分ほどで祖母谷峡に到着しました。
橋の先には祖母谷温泉の山小屋が見えます。
川の近くでは温泉が自然に湧き出していて、川原に自分で温泉をつくって入ることもできる場所です。
硫黄の匂いもして、温泉が湧いていることがよく分かります。
今回は見ただけでしたが、
「次に来たら、ここで入ってみたい」
そう思いました。
朝の露天風呂で事件発生
宿に戻って、朝の露天風呂に入ろうと思ったところから、ちょっとした事件が始まりました。
男性風呂は問題なく入れたようですが、女性風呂にはお湯がありません。
部屋から階段を下りて、さらに露天風呂まで階段を下りてきたのに、入れない。
仕方なく、また階段を上ってフロントへ。
「お風呂にお湯がありません」
すると、
「ちょうど洗ったところなので、30分くらいで溜まります」
とのこと。
部屋に戻って30分待ちました。
30分待って……
もう一度、階段を下りて露天風呂へ。
ところが、お湯はまだ5cmほどしかありません。
ほとんど流れてきていない状態です。
もう一度フロントへ。
「もう少し待ってみてください」
とのことでした。
さらに20分ほど待って、また露天風呂へ。
でも、ほとんど変わっていません。
またフロントへ行くと、
「もう溜まってるでしょう」
と言われました。
そこで、さすがにぶち切れ
「いったい何度行ったり来たりしないといけないんですか? 客に何度も見に行かせないで、あなたが行ってみてきたらどうですか」
そして部屋に戻り、そのままふて寝。
すると、おかみさんが、部屋まで謝りに・・・
「お風呂が溜まりました。朝食の時間を遅らせてもいいので、お入りください」
と声をかけてくださいました。
でも……ケチ子大人げなく拒否。
「もういいです」と、そのまま朝食をいただきました。
今思えば、せっかくの秘湯だったのだから入っておけばよかったかな、と少し思います。
なんやかんやでの朝食
朝からいろいろありましたが、早朝から祖母谷峡までの軽いハイキングでおなかも空いているのでおいしくいただきました。
そして帰りのトロッコでも……
朝食後、帰りのトロッコについてフロントで確認しました。
もともとは欅平駅から10:01発の列車に乗る予定でした。
ところが、
「8時50分頃の、作業員の方などが戻るトロッコにも乗れますよ」
と教えていただきました。
私たちは、次の行程も考えて、その列車に乗ることにしました。
ところが、これが想像していたトロッコとは全く違うことに。
荷物置き場と小さな車両
ホームで待っていたのは、通常のトロッコ列車とは違う小さな車両。
往路で乗ったトロッコの半部以下の大きさ。
前の人の背中が、ほとんど自分の膝に当たりそうなくらい。
荷物も膝の上。
とにかく狭い。
作業員の方や登山帰りの人と一緒になり、ぎゅうぎゅうの状態でした。
もちろん、これは作業員の方やハイカーの方が悪いわけではありません。
私たちが知らずに乗ったことが問題でした。
行きのトロッコでは、車内を左右に移動しながら黒部峡谷の景色を楽しめました。
それが帰りは、写真を撮るどころではありません。
本来なら欅平始発、泊まってる人しか乗らないんだから空いているはずです。
「同じ運賃なのに……」
正直、やられた感満載でした。
名剣温泉に泊まる方には、私はここだけはお伝えしておきたいです。
何を言われても10:01の始発の通常トロッコに乗ることをお勧めします。
せっかく黒部峡谷まで来たのですから、最後まで景色を楽しみながら帰ったほうがいいと思います。
「旅人の心に添う 秘湯は人なり」とは
名剣温泉が加盟している「日本秘湯を守る会」。
公式サイトには、
「旅人の心に添う 秘湯は人なり」
という理念が掲げられています。
いろいろな思いを胸に旅に出る人の心に思いをはせ、旅人を迎える宿と人がどうあるべきかを問い続ける。
そんな考え方です。
この言葉を知っていたからこそ、今回の朝風呂や帰りのトロッコのことは、余計に考えさせられました。
宿の設備や料理だけではなく、
「旅人を迎えるということ」
そのものについて考える機会になった宿泊でした。
元添乗員のけち子が思ったこと
私は以前、添乗員をしていました。
これまでに、いろいろなホテルや旅館、山小屋、高級なお宿にも行きました。
添乗員をしていれば、お客様から時々、不満の声をいただくこともあります。
もちろん、すべてのお客様に満足していただくのは簡単なことではありません。
でも……
今回のような経験は初めてでした。
朝風呂のことで何度も階段を行ったり来たりしたこと。
そして帰りのトロッコで、思ってもいなかったような状況になったこと。
旅を楽しみに来たはずなのに、最後にこんな気持ちになるとは思いませんでした。
そして、ふと思ったんです。
「自分でよかった」
添乗で来ていたお客様に、こんな思いをさせることにならなくて本当によかった。
旅人を迎えるということは、宿の設備や料理だけではなく、その人がどんな思いでここまで来たのかを考えることでもあるんじゃないかな。
そんなことを、つくづく考えさせられた旅でした。
日本秘湯を守る会のスタンプ帳
今回の宿泊で、私たちは「日本秘湯を守る会」のスタンプ帳にもスタンプをもらいました。
実は、私たちはこれまでに会員宿を3軒訪れています。
日本秘湯を守る会では、スタンプを10個集めると、1泊無料招待という楽しみがあります。
ただし、10個のスタンプを最初の宿泊から6か月以内に集める必要があります。
これがなかなか大変。
でも、
「次はどこの秘湯に行こう?」
と考えるきっかけにもなります。
スタンプ帳を持って車中泊kしながら秘湯をめぐる旅。
これも、これからの楽しみのひとつになりそうです。
まとめ|名剣温泉に泊まってみて
名剣温泉は、黒部峡谷の奥深くにある、まさに秘湯という言葉が似合う宿でした。
欅平駅から歩いて向かう道のりも含めて、普段の温泉旅とは違う特別感があります。
土地の食材を使った創作料理も美味しく、祖母谷峡までの早朝散策も印象に残りました。
一方で、朝風呂では何度も階段を往復することになり、帰りのトロッコでは思いがけず窮屈な車両に乗ることになりました。
だからこそ、今回は「泊まってよかった!」だけでは終わらない旅になりました。
秘湯の宿だからこそ味わえるもの。
そして、秘湯の宿だからこそ考えさせられたこと。
それも含めて、今回の名剣温泉の宿泊体験です。
今回の黒部峡谷旅はこちら
今回の旅では、
トロッコ列車 → 黒薙温泉 → 鐘釣 → 欅平 → 名剣温泉 → 祖母谷峡
と巡りました。
黒部峡谷鉄道トロッコ列車についてはこちら
▶ 黒部峡谷トロッコ列車|2023年8月、途中下車で黒薙・鐘釣・欅平へ
黒薙温泉・鐘釣の河原 日帰り露天風呂についてはこちら
▶ 黒部峡谷で途中下車|深山幽谷の湯 黒薙温泉と鐘釣の河原露天風呂をめぐる
名剣温泉の再開を願って
2026年の黒部峡谷では、地震の影響などにより、今も復旧が続いています。
名剣温泉も、現在は営業再開の時期が決まっていないようです。
被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
そして、復旧に携わっている皆さまにも、心から感謝いたします。
黒部峡谷の美しい景色とともに、名剣温泉のあの静かな時間を、また楽しめる日が来ることを願っています。
気になる方はこちらから
名剣温泉をお気に入り登録して再開を待つのはいかがでしょう。
私たちも、再開の日を楽しみに待っています。
いつも最後までお読みいただき、ありがとうございます。
リタイヤ~ずの旅の記録が、皆様のの旅の参考になれば嬉しいです。
よい旅を!